美しき天然

作曲者 田中 穂積
作詞者 武島 羽衣       JASRAC
MIDI制作 MOMO
データ作成日 2002.4.7 (2015.9.11改訂)
データサイズ 27.0 KB
コメント 1902(M.35)年に作曲された曲です。武島羽衣氏は滝廉太郎氏作曲の"花"の作詞者でもあります。
また田中穂積氏は海軍の軍楽隊長の任にあった人で、長崎県立佐世保北高等学校と長崎県立佐世保南高等学校の前身の1つである私立佐世保女学校(佐世保市立成徳高等女学校)で音楽指導する際に、教材として作曲したものとのこと。
イラスト:美しき天然
イラスト:Kiyosi Kobayasi さん








(1) 空にさえずる 鳥の声

  峯(ミネ)より落つる 滝の音

  大波小波 とうとうと

  響き絶やせぬ 海の音

  聞けや人々 面白き

  この天然の 音楽を

  調べ自在に 弾きたもう

  神の御手(オンテ)の 尊しや


(2) 春は桜の あや衣(ゴロモ)

  秋はもみじの 唐錦(カラニシキ)

  夏は涼しき 月の絹

  冬は真白き 雪の布

  見よや人々 美しき

  この天然の 織物(オリモノ)を

  手際(テギワ)見事に 織りたもう

  神のたくみの 尊しや


(3) うす墨ひける 四方(ヨモ)の山

  くれない匂う 横がすみ

  海辺はるかに うち続く

  青松白砂(セイショウハクサ)の 美しさ

  見よや人々 たぐいなき

  この天然の うつし絵を

  筆も及ばず かきたもう

  神の力の 尊しや


(4) 朝(アシタ)に起こる 雲の殿(トノ)

  夕べにかかる 虹の橋

  晴れたる空を 見渡せば

  青天井に 似たるかな

  仰(アオ)げ人々 珍(メズ)らしき

  この天然の 建築を

  かく広大に 建てたもう

  神のみ業(ワザ)の 尊しや