(1) 下駄を鳴らして 奴(ヤツ)が来る 腰に手ぬぐい ぶら下げて
学生服に しみ込んだ 男の臭いが やってくる
ああ 夢よ 良き友よ おまえ今頃 どの空の下で
俺とおんなじ あの星見つめて 何思う
(2) 可愛いあの娘に 声かけられて 頬を染めてた うぶな奴
語り明かせば 下宿屋の おばさん酒持って やってくる
ああ 恋よ 良き友よ 俺は今でも この町に住んで
女房子供に 手を焼きながらも 生きている
(3) 男らしさと 人が言う お前の顔が 目に浮かぶ
力ずくだと 言いながら 女郎屋通いを 自慢する
ああ 夢よ 良き友よ 時の流れを 恨むじゃないぞ
男らしいは やさしい事だと 言ってくれ
(4) 家庭教師の ガラじゃない 金のためだと 言いながら
子供相手に 人の道 人生などを 説く男
ああ 夢よ 良き友よ 便りしたため 探してみたけど
暑中見舞いが 返ってきたのは 秋だった
(5) 古き時代と 人が言う 今も昔と 俺は言う
バンカラなどと 口走る 古き言葉と 悔やみつつ
ああ 友よ 良き酒を 時を憂いて 飲み明かしたい
今も昔も この酒つげば 心地よし
(6) 学生たちが 通りゆく あいつ程では ないにしろ
まじめなのさと 言いたげに 肩で風切って 飛んでゆく
ああ 友よ 良き奴よ 今の暮らしに 飽きたら二人で
夢を抱えて 旅でもしないか あの頃へ